Spiber, たんぱく質の可能性

Jun 8, 2017   #lecture 

機会があって、Spiber関山 和秀 氏の講演を聞いてきた。

慶應義塾大学から出たベンチャーで、人口蜘蛛の糸に成功している企業。150億円もの投資を集めている。社員は160名ほどで、(たしか)8割ほどがR&Dだ。遺伝子工学と繊維工学を組み合わせ、Spider silkの増産に成功している。想像では製造過程に人や資材が必要なんだと思っていたが、ほぼ製造は自動で行われ、製造作への金銭ではなく、構成からR&Dがメインでこの金額を集めているようだ(たぶん)。

DNAの設計、微生物に埋め込み、たんぱく質を作り、それを繊維を始め、シートなどの材料にしている。タンパク質合成は、蜘蛛の糸だろうが、羊毛だろうが製造可能だという。

素材はコンスターチで、セルロースも使う予定だ。それを微生物に食わせて、意図したたんぱく質を生成させる。そこで終わりではない。それを繊維やシートへと変える。化石燃料はいらない。

製造した材料になる各過程において特性を、ビックデータとしてとり扱われ、次の世代につなげられる。現在は12世代で、コスト、品質共に劇的に世代ごとにあがっていく。

DNAの設計といっても、取り出したい(デザインされた)タンパク質を決めるもの、フラメンテーション(発酵)のスピードや、そのあと材料として、形状を成した時の物理的特性、製造過程における扱いやすさまで設計していく。その全体の複雑なパラメーターを利用や欲しいものに対して、最適化していくことによって、コストを下げることができるようだ。

単純に一つの技術や特許で行えるものではなく、多くの工程と無数のパラメーターの設計により、素材特性とその作成工程の効率化に影響を及ぼす。

そしてその材料はさらに、社会のマーケットへと繋がり、強みを生かせるようにDesignされなければならい。

それゆえ、R&Dの方々は一つの専門分野に収まらず、4つほどの専門分野を深く掘り下げる必要があるようだ。そして、CEOの関山 和秀 氏はそのR&Dを率先するためにも自分が全てを教えられるように、各知識を掘り下げているという。

アメリカの軍事機関さえも、開発に失敗したSpider silkの成功要因は、タイミングだという。遺伝子工学とバイオテクノロジーの十分な発展と、日本繊維産業の重鎮が引退に近く多くの話やアドバイスを横断的にもらえたことが大きかったという。

遺伝子工学で設計が、材料工学や生産と結びつけ、多くのパラメーターを調整、フィードバックさせることで、たんぱく質をそしてそれによる素材を設計し、安値で量産することが可能になりつつある。それは多くの分野の発展とその組み合わせによる。そのための組織づくりは、その構造を内包できるようになっているようにおもえた。

山形に母体となった慶應義塾大学の研究機関より大きな研究所を横に作り、世界の企業と競り合いながら、世界をリードしている。普段触れない、材料系の世界だが、その発展や可能性は話を聞いているだけで面白かった。